新型フェアレディZは、ビッグマイナーチェンジで正解だった。“最後のガソリンZ”ならではの硬軟自在の走りとは?
掲載 carview! 文:山田 弘樹/写真:日産自動車 142
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リアダンパーをさらに締め上げて、伸び側の動きを規制すれば、より安定感は増すだろう。しかしそれでは、日常領域におけるあのしなやかでリズミカルな動きが殺されてしまう。
だからこそ開発陣はそのディファレンシャルに、上級グレード用ではあるがメンテナンスが必要な、機械式LSDまで投入した。そして19インチタイヤをも用意している。もっと言えば、最廉価グレードを極端にシンプル化したのは、「自分好みにカスタムしてくれよ」というメッセージでもあるのだろう。あとはより高度な領域でのドライビングプレジャーを求める層に向けて、「バージョンNISMO」を設定してくれたら、言うことなしだ。
新型フェアレディZのキャラクターを冒頭で「バランス型」と形容したのは、そういうことである。スープラのような、もっといえばミドシップスポーツカーのような尖った操縦性ではないけれど、ゆったり走らせてもアクセルを踏みきっても、マシンとの対話が濃密に楽しめる。価格的にも性能的にも非常にバランスの取れた、V6ツインターボを搭載した上質なスポーツカーなのである。
こんなクルマをこの時代に残してくれたのだから、嬉しくなるじゃないか。サプライチェーンの状況が解決されるまでしぶとく待ち続けてでも、とっておきの一台として手に入れる価値は大いにあるはずである。
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